「効率を上げよう」って、現場でも会議でもよく聞く言葉ですよね。
でも、私はいつもこう思うんです。
「じゃあ、その効率ってどうやって測ってるの?」
■ 効率改善には「時間軸」が不可欠
効率を数値化するには、必ず“時間”という軸が必要です。
なんとなく速くなった…では、再現も評価もできません。
たとえば、物流現場でいうと
ピッキング作業の1件あたりにかかる時間を計測する。
注文1件を処理するのに、何秒かかったかを記録する。
これを1時間繰り返して、
その時間内に明細の何行処理できたかで割り算する。
すると、**1時間あたりの処理能力(=効率)**が見えてきます。
■ 改善施策が「効いたかどうか」も数値でわかる
たとえば、ロケーションを売上順に並び替えたとします。
これで本当に効率が上がったのか?
その答えも、時間あたりの処理件数の比較でわかります。
・導入前:1時間に80行
・導入後:1時間に120行
この結果が出れば、改善が成功した証です。
■ 通販時代の工夫:印刷前に“エリアで並び替える”
私が通販業務をしていた時代、
1日あたりの注文件数がとても多く、
倉庫もかなり広い構造でした。
そこで私は、納品書や請求書の印刷前に、注文明細のロケーション(エリア)コードの頭文字で並び替えるという運用を行っていました。
たとえば、
エリアコード「A・B・C…」のように頭文字を持つロケーション情報が入っていれば、
それをもとに注文明細を並び替え。
→ 印刷すると同じエリアのピッキング伝票がまとまりやすくなり、スタッフの動線も短くなるという工夫です。
このような設計は、現場の業者でもあまり見かけないかもしれませんが、
業務の負担軽減・効率化には大きく貢献したと自負しています。
■ バーコード導入で物流スピードは3割アップする
バーコード運用を導入した企業では、
作業スピードが平均で30%向上したというデータもあります。
なぜか?
- 読み取りだけで完了 → 入力ミスが減る
- 探す時間が減る → 棚番・ロケーションの最適化
- 誰が作業しても同じ速度 → 作業の平準化
これらが積み重なることで、自然と効率が上がる仕組みができあがります。
■ 誰でも作業できるようになれば、雇用も広がる
作業が標準化されることで、
未経験者や派遣社員でも戦力として活躍できるようになります。
これができれば、
人材確保の柔軟性が高まり、安定した運営ができるようになります。
特に中小企業では、1人欠けたときの影響が大きい。
だからこそ、誰でも“同じように”できる仕組み作りが大事です。
■ 経営者に響く提案は「感覚」ではなく「数値」
現場から経営者に提案するとき、
「これ、時間かかってます」では弱いです。
でも、
「今、1件あたり25秒かかっています。これを20秒にできれば、1時間あたり60件から75件へ。月間にすると〇〇時間削減できます。」
こう伝えれば、一発で刺さるんです。
現場と経営の温度差を埋めるには、**“時間軸の見える化”**が一番強い。
■ まとめ:トライ&エラーを“数字”で回せば、改善は必ず加速する
効率化は、感覚の話ではなく、数字の話です。
時間を測り、件数で割り、結果を比較する。
このシンプルなプロセスを回し続けることで、
作業は確実に早く・正確になっていきます。
「効率を上げよう」と思ったら、まずは1件の時間を測ってみてください。
そこから改善のストーリーは始まります。